一期一会 ~和歌山市S様~
施設からのご紹介でS様のご葬儀を承りました。
施主様によると最初は他葬儀会社への連絡をされたそうですが、直葬で料金の負担を減らすがお別れはしっかりとされたいとの要望を受け入れてもらえず、施設の方に相談したところ弊社を紹介して頂けたとのこと。
S様はお酒と甘いものを好まれ、寂しがり屋の口下手だったそうです。奥様とは離別され、施主であるお嬢様と2人暮らし。家事はお嬢様が担当されたので、お友達と遊びたいのを我慢して作られていました。
それなのに口下手だからか食事を作っても「おいしい」という言葉もなかったようです。そのような生活のなか施主様は、早く独り立ちしたいと思われ、短大卒業後に家をでて独り暮らしを始めご結婚されました。時々顔は合わせていましたが、ちょっとした喧嘩をしてからは逢うことが少なくなりました。
S様は高齢になり認知症も進み、施設に入居。施設には窓がなく外を見る機会が少なくなり、認知症の症状が悪化していきました。
その姿を見ていると「外にでたかったのではないか」「施設スタッフの方にわがままを言って困らせてはいないか」「もっとたくさん逢いに行ったり、話をしておけばよかった」など、ご心配や後悔をされていました。
施主様は他府県に住まわれていましたので、お別れの日までこちらでお預りし、身支度やご納棺を終え施主様を待ちました。
お父さまであるS様はすごく安らかなお顔になり、お嬢様がいらっしゃたときもお喜びいただきました。
お花を入れお別れをし和歌山市営斎場へ出発の際に花束をお棺の上に手向けます。S様はゴルフがお好きだったとのことで、お花屋さんがゴルフをイメージした花束を作ってくれました。お嬢様にその花束を棺上に置いていただきました。その花束には桜が入っていて、「以前住んでいた家から桜の花が見えていたので、父は喜んでいると思います」と仰いました。
ご出棺のお車の中ではたくさんお父さまに話しかけられ、和歌山市営斎場へと迎いました。
それぞれの人生の中で思ってることや、感じたことは言葉に出さないと相手に伝わらないことがたくさんあります。
些細なひとつのことがきっかけで、関係性がぎこちなくなることもあります。お互いに想いあっているのに伝わっていない時間を過ごしていくのであれば、少し勇気をだして言葉や行動で相手に伝える努力をお互いにすることが、今より人生を楽しく幸せなもにのに変えていくことができるでしょう。近い存在の家族だからこそ言えない場合もありますが・・・
おそらくS様はお嬢様の作られた食事は美味しいと思われて召し上がっていたと思います。
後悔はどれだけ尽くしても、大切な人を亡くしたときには訪れると思います。後悔よりも幸せな時間を多く思い出せるように過ごしていきたいですね。皆様それぞれ精一杯お世話はされたうえでの後悔ですから。
今回もまた想いのある方のご葬儀に出逢えたことに感謝です。
S様のご家族様お疲れ様でした。ご紹介いただいた施設の方、ご協力いただいた業者様、お疲れ様でした。ありがとうございました。