一期一会 ~和歌山市 S 様(男性)~
S様の奥様と知り合ったのは5年ほど前だったかと思います。以前ご葬儀を担当させていただいた方に友人を紹介しますとのことで、S様の奥様を紹介していただきました。
まだその頃のS様ご夫妻はお元気でした。それからS様の奥様の友人を通してお付き合いは続き、私は勤めていた会社を退職をしたりで状況は変化していきました。その期間にS様が病気になり今までなかったアレルギーも発症したりと様々なことが起こっていったようです。S様が元気だった頃、奥様はS様に頼りながら生活をしてきたとのことで、自分が中心で行動や決断することにすごく不安を抱えていました。不安や心配が強くなってきたかなぁという絶妙なタイミングで奥様の友人の方が私に連絡をくれました。
そして奥様に連絡をして安心をしていただくためにお話をすることを繰り返してきました。
奥様とはお話をしてきましたが、残念ながらS様とは一度もお会いすることなくご葬儀の依頼を承りました。
医師から後1ヶ月と余命宣告を受けましたと連絡を受けてから約40日ほどだったかと・・・
「亡くなりました」と奥様から涙ながらにご連絡がきました。入院生活になっていたためS様を自宅に帰らせてあげたいとの希望はありましたが、S様の自宅は玄関が2階のためご家族で話し合い、安全をいちばんに自宅には戻らずに、弊社の提携させていただいているご安置場所でお預りすることになりました。
ご長男である喪主様は東京にお住まいでしたが、すぐに和歌山にお戻りになられ次の日の打合せには同席されました。
奥様は独りでの打ち合わせではないことにすごく安心された様子でした。
基本的な家族葬プランに希望される供花やお食事を追加されました。祭壇のデザインや花の種類はお任せとなりました。
参列者は約20名。
S様のお身体の状態があまり良くなかったため、先に身体のお手当をしてドライアイスの追加をさせていただきました。
病院の処置の仕方や亡くなった後のエンゼルケアにはそれぞれ違いがあります。
わたしたちは病院から引き継ぐと、葬儀が終わるまでの間、故人の状態を綺麗に保つようにしなければいけません。
そのためにはお身体をしっかりと確認をして、行わなければいけない内容に応じてお手当や化粧をします。そうすることで故人の最後を良い想い出として残すことができます。
身支度を整えた後のS様は安らかにお綺麗な顔になり、ご家族の方は安心された様子でした。
ご納棺の際にご家族はお立会いされ、洋服や食べ物、奥様の書かれた般若心経を納めていただました。大好きなお酒はお別れの際にお口を湿らせてあげましょうと次の日に持ち越しです。
ご納棺後に和歌山市営斎場へ向かう途中に、自宅には戻れていないS様のために一度自宅により駐車場に入り、寝台車とお棺の窓を開け、自宅が見えているかなぁと思いながらご家族には声をかけていただき自宅でのお別れをしました。
通夜、葬儀と儀式以外ではS様の好きだったCDをかけていました(おそらくパヴァロッティだったかと)
終始ご長男である喪主様は故人であるお父さまの様子を見ながら、色々と話しかけられたり行動をされていました。男性なので多く涙を流したり言葉に出すこともありませんが、様子をみているだけで伝わってきました。ご家族皆様は離れては暮らしていましたがやはり家族で大切な人だったんだと強く感じました。
お別れの際はご家族でS様のお好きだったお酒を口に湿らせながらお言葉をかけられ涙を流しながら最後のお別れです。大好きな家族に見守られながら、好きだったお酒の匂いが故人を包みすごく幸せそうでした。お花もたくさん入り好きなCDも入れご出棺しました。
S様、お疲れ様でした。ご家族の皆様もお疲れ様でした。今回のご葬儀にご協力いただいたすべての方に感謝申し上げます。
ありがとうございました。・・・ちなみに本日はS 様のお誕生日でした(^_-)-☆