一期一会 ~和歌山市 M様(女性)~
和歌山市にあるキリスト教カトリックの屋形町教会でのご葬儀を承りました。
教会が新しく建て直されてから初めてのご葬儀です。以前の職場では何度もご葬儀をさせていただきましたが、今回は立て直されてから初めての自社受けでのご葬儀ということで、教会の神父さまと担当の方と式の流れやお花の飾り方や位置等について打合せをさせていただきました。
教会のなかはすごく綺麗になり落ち着いた印象です。
M様のご家族はご主人とお嬢様が2人の4人家族。長女様は同居で次女様は県外にいらっしゃいます。M様ご夫妻は90代です。奥様が先にお亡くなりになってしまいました。M様は我慢強く積極的にお話をされるかたではなかったようです。
M様が独身時代に会社の同僚の方に誘われ教会のミサに参加し、その時になにか感じるものがあり洗礼を受けられたとのこと。
ご結婚されてからは家事や育児で忙しくなり教会へも行くことも少なくなっていきましたが、お嬢様が信愛に進学されてからは教会へ通うことが増えミサにも参加するようになっていきました。
M様は女性でも手に職を持ち自立した人になり、常に前進していくべきだとの考えから、お嬢様お2人が働くことも応援されました。
30年程前に体調をくずされ自宅療養での生活をしていました。そのような状況のなか、教会の信者さまから同じように体調をくずされた人同士で、ゆっくりと過ごせる聖地フランス・ルルドへの旅行の計画のお誘いがありました。
その旅行に参加されたことでパワーをもらい、また頑張って毎日を過ごそうという気持ちになれたのだそうです。
遺影写真はその旅行に行かれた時に撮影した写真を使用しました。
3年前にまた体調をくずし入院されましたが、コロナ禍のために逢うことができずにご夫婦がお互い寂しい想いをされたことから、退院し自宅での療養を選ばれました。
M様は自宅に戻られてからは嬉しそうに安心され、入院中にはなかった元気も取り戻していきました。
M様のご主人はお食事を中心に準備をされ、M様が好きな物や美味しいという物を作り、M様の美味しそうに食べる顔を見ることがすごく嬉しかったそうです。嬉しい顔を見るために同じものを作ってしまうことで、長女様は栄養面で偏りが出ることを心配されメニューなども日々考えられていました。
自宅での介護や看取りは大変ですが、高齢のご主人やご家族の愛情が故人にとって幸せな時間だったのではと感じました。
M様のご葬儀はこのような家族からのたくさんの愛情が詰め込まれたご葬儀になりました。「たくさんのお花を棺周りに飾りたい」という希望があり、色のバランスや花の種類などをフラワー担当の会社と打合せや確認を何度も行いました。
教会のご葬儀では棺の上には十字架を手向けますが、その十字架は平坦なものではなく、少しアレンジを加え立体感をもたせました。フラワー会社のスタッフの方も棺周りのお花を載せる台まで作成してくれすごく良いものができました。
お棺にかけるレースのヴェールをお嬢様が手作りされ、すごく可愛くて上品なヴェールでした。
M様のご葬儀はご家族皆様で作り上げることができました。様々なこだわりを持ちそのご家庭ならではの送り方の形があることはすごく素晴らしいことです。ご家族が希望される形をしっかりと聴きそれを形にするお手伝いをすることが私たちの使命のひとつです。
通夜、葬儀と教会の信者の方にもお手伝いいただきスムーズに進めることができました。今回のご葬儀でまた「キリスト教って良いなぁ」と感じてしまいました。信者という同士が集まり、家族でも身内でもない人のために想いのある人たちが、同じ信者を見送るために参列される姿やみんなで聖歌を歌う姿を見て感動しました。
家族葬が広まり参列者を少なくすることが一般的になるなか、故人やその家族を想う気持ちがあれば参列するのは自然なことだと改めて思います。世間がどうだからということは関係なく故人やご家族がどのような最後のお別れをするかは自由です。そのうえで周りにも想いのある人がいることを思い出し、人生で一度しかないご葬儀は今まで生きてきたその人と関わったすべての人にとっていちばんよい形を選択して欲しいと思います。
M様、ご家族の皆様お疲れ様でした。そして今回のご葬儀でご協力いただいた皆様、感謝申し上げます。ありがとうございました。