一期一会 ~ 和歌山市 Y様(男性)~
弊社のチラシが回りに回ってY様ご家族に届き、Y様のご依頼を承りました。
Y様はご生前中はご家族に対して「入院ではなく自宅で過ごしたい。そして最後は派手なことをせずに自宅でお葬式をしてほしい」と希望されていました。その遺志を尊重したいとご家族様より弊社に連絡がございました。
Y様の遺志を叶えるためにご家族で相談をされ、入院をやめて自宅に戻りご自宅での看取りをされる決断をしました。
Y様のお元気なころはスーツを着こなし、バリバリと仕事をされる方で、思いやりがあり物知りで頭がよく賢い方だったそうです。現役中はたくさんの方から頼られることも多く、厳しさのなかにも優しさのあるY様でした。
ご結婚から54年、奥様とは一緒に仕事をされて、奥様には難しいことを言わず優しい人でした。
亡くなる少し前には他県にいるお兄様にご連絡されて、「逢いに行きたいが逢えそうにない。」と仰ったそうです。そのあとにお兄様のいる県の地図を眺めながら「楽しかった…」とご家族に仰いました。
車でよくドライブをされていたことから、お兄様のいるところまでドライブをしてお兄様に逢えた気分になられたのでしょうか・・・
ご納棺の際にはそのときに見ていた地図、好きだった家康や信長などの歴史についてのDVD、愛飲されていた緑茶、ライチョウの写真、仕事の時に着ていたダブルのスーツにネクタイ、長女様に焼いていただいた大好きだった焼鮭など、お棺のなかは大好きな物いっぱいで、ご家族様に温かく見守られその場はY様への愛情がいっぱいでした。
通夜式の始まる時間くらいから降り始めた雨は翌日まで降り続きましたが、ご出棺の際には見事に雨は止みました。家の前の少し下の方にたくさんの桜の花が綺麗に咲きその横を通り過ぎてのご出棺でした。
ご出棺のタイミングで雨が止んで少し晴れ間が出て明るくなったように見えたことで、Y様はご家族にきっと「ありがとう」と伝えているのではないかと感じる瞬間でした。
そして和歌山市営斎場に到着し、ご家族の代表である喪主様は炉前で点火のボタンを押さなければなりません。喪主様はその時に今までのことが走馬灯のように思い出されたそうです。
大切な人が亡くなってから収骨迄の間には心で受けとめなければいけないポイントがいくつかあります。点火ボタンを押すときもそのポイントのひとつです。その瞬間の気持ちも心で整理しこれからの人生を進んでいただきたいと思います。
故人の遺志であった自宅での看取りと自宅でのご葬儀はご家族にとっては様々な不安や迷いがあったと思います。「Y様の想いを叶えるためにはどうすればよいか?」「家族だけで自宅の看取りができるのか?」「これが最善の判断なのか?」など・・・
どれが正解かなどはないと思います。どれだけしても後悔は多かれ少なかれ出てきます。そのご家族がその人のことを想う気持ちとご家族皆様の状況でできることとできないことがある。そのうえでそのご家族が今できる精一杯でよいのではないでしょうか。
大切なかたとのお別れは言葉では表現することができません。ご家族皆様がそれぞれの想いをこめてお見送りされるお手伝いをさせていただくことに、今後も更に自分自身を成長させ進んでいかなければと改めて感じました。
この度ご縁をいただきましたY様ご家族皆様に心より感謝申し上げますとともに今後ともよろしくお願いいたします。
またご自宅からのご出棺に際し、ご協力いただいたフラワー会社のスタッフ皆様誠にありがとうございました。